なのはなテレビ

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九州電力大霧地熱発電所


水力も火力も核も、発電の基本は同じ。水や蒸気の力でタービンを回し、軸につながれているモーターを逆回転させて発電しています。自転車のダイナモを想像してもらえますか? モーターを逆回転させると電気が生まれるのです。基本的に、電気を作る仕組みはこのモーターの逆回転です。どのように逆回転させるかの違いだけですね。水力以外は、水蒸気を発生させるための熱源が必要です。その熱源が石炭であったり、石油であったり、核分裂であったりするわけです。熱源が違うだけで基本的な発電の仕組みは同じです。
その熱源を、天然のボイラーともいえる地球から取り出すのが、地熱発電所。地球は熱い星です。火山活動からもわかるように、地球の内部は熱く溶けたマントルで満たされており、そのおかげでわたくしたちはだいすきな温泉に入ることができます。温泉は、マントルに熱せられた地下水が、地表に噴出した現象だとおもってください。その途中で、火山性のガスなどを溶け込ませ、硫黄泉などになります。
この二日間で、火山活動のすごさを教え込み、きょうはその集大成。火山活動の究極的な利用法である地熱発電所を見学しました。火山の恩恵はただ温泉だけじゃないことを知ってほしくて。前日までさんざん見てきたあの噴気活動を、大規模に利用すれば、電気だって起こせちゃうのよということを実感してほしかった。といいつつ、瑠璃よりわたくしたちのほうが圧倒されてましたが…
地熱発電、すごい!

右側がタービンで、左側が発電機だったかしら…
実際の見学の前に、約20分以上、ビデオでレクチャーを受けます。地熱発電の基本的な仕組みなどをビデオで見たあと、実際の見学になるのですが、ついさっき見たはずなのに憶えていないっていうのはなに? 妖怪の仕業としかおもえません。

蒸気は復水器で、水になるまで温度を下げられます。その後、冷却塔に送られます。

冷却塔では滝のように水が落ちていました。これは使い古された蒸気の成れの果てなのですが、実際に見ると圧巻です。具体的な数量を訊ねるのを忘れてしまうほど、大規模に水が流れ落ちていました。タービンを回したあとの水蒸気は徐々に冷却され、最終的にはこの冷却塔で大気に触れさせながら、温度を下げられます。

地中深くから蒸気を取り出す蒸気井。もっとも深いところで3100メートル、浅いところでも1000メートルもあります。
地中奥底から天然ボイラーで熱せられた蒸気を取り出し、タービンを回して発電しています。地熱発電のメリットは、燃料費がただ。安定した発電ができる。デメリットは、発電量が多くない。場所を選ぶのがたいへん。なので、さまざまな発電方法と組み合わせて、総合的に安定供給できるようにしています。
今後、核や化石燃料に頼らない水力や地熱発電が、もっと増えればいいのになぁ。
日本はあちこちで水蒸気がわき上がっているのだから。それを効率的に使えるようなテクノロジーが見つかれば、核発電の需要は減りますよね。
地熱発電は安定して操業できるので、発電機出力やタービン回転数などの監視は、約60キロ離れたところにある川内火力発電所から遠隔操作で行なわれています。だから施設の管理要員は別として、運転を見守る職員は常時3人くらいなのですって。

わたくしたち一家が娘をつれて旅をするときは、ふつうの観光地だけではなく、ふだん見られない場所につれていってあげたいという気持ちが大きいので、社会科見学のようになってしまうのは否めません。ふだん見られない場所を見せてあげることは、きっとなにかの糧になってくれると信じているから。そうおもっているのは、わたくしがまだ独身だったころ、取材先で偶然ご一緒した父娘(おやこ)のお姿を見てからです。その取材は北関東にある金鉱でした。当時は金価格が安かったので、採掘は停止されており、細々と観光で命脈を保っていたような場所でした。その金鉱の取材で出会った父娘がとてもよかったんです。いいなっておもった。わたくしにもいつか子どもが生まれたら、こんなふうな親子になりたいとおもいました。若いお父さん、いまのわたくしより年下かもしれませんが、小学校4年生くらいの娘さんに金鉱のこととか、砂金取りのこととか、やさしくていねいに教えていらっしゃったのです。そうそう、そこの金鉱では砂金取り体験ができたのです。確か、椀がけという方法です。お盆のようなものに砂金混じりの砂を入れて、それを水の中で豪快に揺すります。そんなに烈しく揺するの!っていうくらい、ダイナミックに揺すらないといけません。金の比重と水の比重のちがいをわかっていれば、それくらい烈しく揺するのですが、当時のわたくしはまったく無知で、こわごわと揺すっていました。それじゃ金が取れるわけありません。
結局、いちばん最初に金が取れたのが、彼女でした。
なんだか、またあの金鉱に行ってみたくなりました。まだやっているのかどうか。

さて、そのあとは地熱発電所の近くにある牧場を見学しました。


牛さんて、好奇心旺盛なのですね。わたくしたちの姿を認めると、牛舎の奥から続々と集まって来ました。最初はこの牛さんだけだったのに…



無言で集まって来るのが、ちょっち怖かった。モーモー鳴きながら近寄ってくれればよかったのですが。みなさん、無言でしたから。
かわいいのでついさわってみたくなりますが、病気のことを考えるとわたくしたちが安易にさわるのはどうかとおもい、瑠璃にもさわっちゃだめよと言い渡しておきました。牛さんが口蹄疫などの病気になったらたいへん。そういうことを考えると、部外者と接近できるような構造になっているむかしながらの牧場は、真摯に構造転換を視野に入れていかないといけない時代になってきているのでしょう。
「きゃーかわいいー」といいながら、さわりまくる観光客はぜったいにいるはずです。

霧島アートの森。
ここは関東の施設だと箱根彫刻の森美術館に匹敵します。屋外に、アートが展示されています。
この日は曇り&ちょっち雨で、寒かったため、館内の見学だけにとどめました。ほんとうは屋外展示物こそがキモなのですが、わたくしは寒いのが苦手なので、早々に退散。夏に来ましょう。


湧水町の水源、丸池のそばには、このような立派な水竜のオブジェがありました。

町の名前が湧水町ですから、水に自信を持っていらっしゃることがわかります。


この池の底から「名水百選」に選定されている丸池湧水がわき出しています。写真だと水色になっている場所。そこが源水です。池の底の砂をわき上げて、名水が噴出しています。この池は、湧水町上水道の水源になっています。この水を飲んでいるんだ…とおもいました。
きれいな水だとおもいますが、魚も泳いでいました。え? 魚が泳いでいる水を飲むの?
魚がした糞はどうなっているの? 浄水しているの?
ということを考えてしまったわたしなので、ちょっちこの池の水は飲めませんでした。
飲み水用に、水をくめるようになっていたのですが。
えー、ちょっち待って、そのままの水をくませるわけ?
池に魚が泳いでいるのを見た瞬間、これは飲めないっておもいました。みなさん、魚が泳いでいる水、飲めます? 看板にも魚を放流してはいけませんと書かれています。飲料水として使われている以上、無闇に魚を放流してはだめよね。だれも放流しなければ、下流から遡上して来ないかぎり、水源地であるここに自然と魚が生まれるわけはないのだから。

ポリタンク持参で水をくみに来ていた地元のかた。わたくしたちが訪れていたあいだだけでも数組のかたたちが、クルマにポリタンクを積んで、水をくみに来ていらっしゃいました。やはりそれだけおいしい水なのでしょうね。