なのはなテレビ

ここは、しづはのブログです。

天空の蜂

映画の時代背景は1995年ころ、いまから約20年前です。
高速増殖炉「新陽」の炉心上空にホバリングさせた大型ヘリコプターを盾に、落とされたくなければ日本中の核発電施設をすべて破棄せよ、と要求する犯人。そんなことはできないと突っぱねる政府。
ジャンボジェット機が突っ込んでも安全だと主張する技術者たち…
発電所の格納容器が二重三重に防護されていることを、わたくしは以前、鹿児島の川内核発電所を取材したときに説明されたことがあります。厚さ数メートルのコンクリート壁、厚さ数十センチの鉄鋼、その中に収められた原子炉本体。安全、安全と言われましたが、使用済み燃料の貯蔵プールはそれほど強固な造りじゃありませんし、冷却水のパイプやポンプが破損されたり、核発電所自体の電源が落ちてしまったらなにが起こるのかは、東日本大震災の福島核発電所の事故を思い起こせば明白です。
この作品は、核発電所で働く末端作業員の悲哀が盛り込まれています。まさに使い捨ての作業員。20年前ですから、いまよりも冷遇されていたはずです。替わりはいくらでもいるんだ、という目で見られていたはずです。病気になっても、それが核発電所の作業による影響かどうかはほとんど無視されていたことでしょう。東日本大震災による被曝で、今後ガンになる人が増えても、政府は関係ないと主張するのでしょう。2011年から5年以上たちました。いままでは潜伏期間です…

映画の当時、16ヶ所以上で稼働していた核発電所を停めるなど問題外だ!と犯人の要求を突っぱねた政府ですが、翻って現代の日本ではどうでしょうか。ほとんどの核発電所が停まっていますね。いま動いているのは川内核発電所の1号機と伊方核発電所の3号機だけ。

わたくしは、核発電の技術そのものはすごいとおもいます。
核分裂反応をじょうずにコントロールして、電気を起こそうとするのはいいことだったとおもいます。石炭や石油を燃やすよりも膨大なエネルギーが取り出せるのですから。ただ、放射能をどうにかできないまま、見切り発車で発進してしまったことが間違いでした。放射能を無効化できる技術がないまま、核という危ないものに手を染めてしまったのが人類にとって過ちでした。