ひじき

瑠璃がひじきを残すのに気がついた。
せっかく煮たのに。
「どうして食べないの？」
すると瑠璃はすっごいイヤそうな顔をしてこう答えた。
「だってそれ、虫でしょ」
「え？」
「ミミズの仲間なんでしょ」
真剣な表情でそう答える瑠璃。
そういえば、彼女がまだ幼稚園児だったころ、そんなふうに教えた記憶がよみがえりました。「ママ、これなに？」って訊かれたので、ついなんの気なしに「これはね、海にいるミミズよ」といった気がする。あのころのわたしは瑠璃にでたらめを教えるのが大好きで、いい加減なことばかり教えていました。ちょっち反省。
「これはね、海草よ。虫じゃないのよ」
「うそ」
「ほんとうだってば」
なんどそういい聞かせても、信じない。子どものときに刷り込まれた知識はそうやすやすと修正できないみたい。
困ったわ。あんな嘘、教えなきゃよかった。