走り湯

さて、伊豆山神社さんの山裾、海岸近くには「走り湯」というスポットがあります。
古くは、山裾の崖下から海に向かって温泉が迸っていたのだそうです。熱海の語源は、このようにあちこちから海に向かって温泉が流れ込んでいたため、「熱い海」が訛って「あたみ」というようになったのだとか。
「走り湯」はちいさな洞窟ふうの入り口で、すでに湯気が外に向かって漂っていました。一歩足を踏み入れたとたん、むわっとした熱気がまとわりつきます。湿度100%は確実。とても暑いです。入り口から源泉まで5〜6メールでしょうか。近づくと、約60センチ四方の石組みの中でぼこぼこと熱湯が煮えくりかえっていました。手を上にかざしてみますと、半端ない熱気が。湯の中に手を入れようものなら、ゼッタイにやけどします。
とにかくものすごい熱気と湿気で、その場に1分といられません。ちょっと見たら、即待避でした。
わたしはこの「走り湯」を見て、いつか読んだ筒井康隆先生の「エロチック街道」を思い浮かべました。洞窟の中から湧き出る温泉。山のこちら側から反対側まで、地下の温泉の流れに乗って運ばれていくという、幻想的なフィクションだけど、日本のどこかにはありそうな気がしました。

エロチック街道 (新潮文庫)

エロチック街道 (新潮文庫)


カセット版の「エロチック街道」はいま入手可能なのかしら。
先生ご本人による朗読です。
新刊はさすがにムリみたい。マーケットプレイスでは3000円で売られていました。